殺人計画書
殺害対象者 ■■■■
殺人決行日 十二月七日
殺人方法 絞殺
原因 彼女の態度と尊敬する人への侮辱
このままではあたしが死んでしまいそうになるから
何もかもが許せず、憎くて堪らないから
私はここまで書いて、ペンを止めた。これは紛れもなく、殺人計画書だ。
誰に宛てたわけでもない手紙。いや、違う。これは良心を持つ自分にあてた手紙だ。
「相手が悪いのだ」と理解させて、仕方がないと諦めさせ、私に殺人を決行させるための手紙。
しかし、良心を持つ「私」はこの手紙に屈しない。
そう、どうしてこの私があんな人のためにこの手を汚さねばならないの?
私はこの手紙を白い封筒に入れ、のりできっちりと封をした。
ライターで火をつけてやれば最後。この手紙は存在したことすら消えてしまう。
赤い炎をあげて黒く変色して行く手紙に、私は祈りを込めるのだ。
どうかこの手紙を書いた『私』が死んでしまいますように。
誰かを破壊する前に消滅してしまいますように。
大きなピンセットで化学の実験のように掴んでいた手紙は、そっと、目の前に用意していた水を張ったボールの中に落ちた。
真っ黒な物質と燃え残りの白い紙が小さなボールの中で浮遊していた。
静かな部屋の中のほんの数分の出来事を、知る人は誰もいない。
一言感想フォーム。よろしくお願いしますっ。